古民家の移築と再生について
古民家の移築と再生について
古民家を解体するきっかけは二つあります。
一つは建物自体が老朽化して人が住める状況ではなくなったと感じる時、もう一つは建物自体の傷みはないけれども、住む人がいなくなったり、現代の生活様式に合わず住人が住みづらさを感じて新しく家を建て替える時です。
いずれであっても解体時には、長い歴史を経て黒光りしている梁や大黒柱等の重厚で風格のある、外観も強度も良質な古材が出てきます。
地域の材木を使い、地域の風土に適した建て方で生まれた古民家を、ただ廃棄するのではなく、その魅力を再確認して再活用する方策として生まれたのが、古民家の移築、再生の考えです。
再生とは、現代の生活様式に合わせて、建物を再構成し、居心地のよい空間を作り出すこと、新しい利用価値を創造することです。
日本古来の伝統工法をもって建てられた古民家は、その伝統工法を受け継ぐ職人により、建てられた時とは逆の順序で解体され、再び組み上げていくことができるものです。
現地で再生する場合には、受け継いだ構造や意匠を活用し、段差や採光等の現代生活に適さない部分を見直して、さらに必要な機能をプラスし新しい住まいに造り変えていきます。
解体後、現地ではなく他所の土地に移築し再生する場合にも同様に、住む人の生活様式に合わせて間取りを変更したり、新築に組み込むことも可能です。
ただし、移築再生の場合には風土の違いによる工夫も必要です。
古民家の賃貸と購入のどちらが良いのかはライフスタイルによって変わります
コンクリートジャングルで毎日を忙しなく駆け回っている生活を続けていると、自然に囲まれた田舎暮らしにふと憧れを抱くということはよくあります。
こんな時、気に入った古民家を見つけたら購入しようか等と心が動くかもしれません。
古民家生活とはいっても、インターネット環境は全国殆ど整っていますし、家の中はオール電化に改装したり、板の間にはお掃除ロボットが働いているかもしれません。
昔風の段差のある作りや、少々隙間風が入ってくるのさえ厭わなければ楽しく食らせます。
しかし、快適な古民家暮らしを長く続けていくためには、それなりの覚悟が必要です。
一つは家の管理の問題で、現在の一般住宅と比べると、床面積が広く、かつ木造建築という特性から維持管理の手間や費用が余計に多くかかります。
家の周囲に雑草がはびこったりしては環境的にも防犯的にも問題ですし、高齢に至ればさらに負担は増します。
コミュニティの問題もあります。
隣人との接触がないマンション暮らしと違い、多くの場合隣近所とのかかわりがあります。
働き盛り、仕事中心のライフスタイルでは、このような条件での生活は難しいかもしれません。
購入よりは、維持管理は家主に任せる賃貸がより良い方法です。